鼓童は2013年2月に、フランスを代表するオペラ・バレエ団体であるパリ国立オペラ(Opéra national de Paris)が開催するバレエ公演『輝夜姫 Kaguyahime』に演奏者8名で客演します。世界最高峰の歌劇場として名高い「パリ・オペラ座 ガルニエ宮」への太鼓グループによる出演はパリ・オペラ座歴史上、鼓童が初めてとなります。『輝夜姫 Kaguyahime』は、作曲家・石井眞木氏の音楽にイリ・キリアン振付による舞踊が融合した伝説的なバレエ作品。1988年の初演以来、世界各地で再演を続ける人気作品です。パリでの公演は、2010年6〜7月に行ったパリ・オペラ座バスティーユでの連続公演以来、3年振りとなります。
Photo: Anne Deniau / Opéra national de Paris
パリ・オペラ座<パリ国立オペラ(Opéra national de Paris)>は、フランスを代表するオペラ/バレエ団体を擁する国立歌劇場。17世紀末にルイ14世の仲立ちで王立音楽アカデミーおよび舞踊学校として発足し、13番目の劇場として1875年に完成したガルニエ宮が現在のパリ・オペラ座として知られている。
プロのバレエ・ダンサーという<職業>はパリ・オペラ座で誕生した。以来、古典バレエから現代作品まで幅広いレパートリーを誇り、常に世界のバレエ界をリードし続けているのがパリ・オペラ座バレエ団である。
1989年に新館のオペラ・バスティーユが完成し、主にバレエ公演はガルニエ宮、オペラ公演はバスティーユで行われることが多い。現在、パリ・オペラ座は150人を超えるダンサーを擁し、厳しい競争を勝ち抜いてきた精鋭ダンサーが揃っている。
新作にも積極的に取り組み、外部振付家への委託作品の上演も積極的に行っている。今回の『輝夜姫Kaguyahime』上演もその1つで、パリ・オペラ座バレエの表現を広げていく試みの一環とも言える。
日本最古の物語『竹取物語』を題材に作曲家・石井眞木が作曲した『輝夜姫(かぐやひめ)−日本太鼓群と打楽器群のための交響的組曲』は、1984年にベルリン・ドイツ・オペラで初演され、鼓童とオペラ打楽器奏者が参加した。この作品には、石井眞木作曲による鼓童のレパートリーがふんだんに取り入れられている。
1985年、スターダンサーズバレエ団の舞踊が加わったバレエ作品『幻想的バレエ 輝夜姫−ダンサース、8日本太鼓群、8打楽器群、3雅楽楽器のための』を東京で初演。鼓童、岡田知之パーカッションアンサンブル、芝祐靖ら雅楽演奏者が参加している。
1988年、当時ネザーランド・ダンス・シアターの芸術監督であったイリ・キリアンの振付けによる『輝夜姫』がオランダ・フェスティバルで初演されて以降、1990年代後半まで世界各地で上演された。(当時、鼓童メンバーの近藤克次が太鼓で参加)
2010年6月パリ・オペラ座バスティーユにおいて、オペラ座バレエ団による『輝夜姫』が再演され、鼓童7名が出演した。2012年10月11日〜27日には、カナダ・モントリオールにて、鼓童8名が「レ・グラン・バレエ・カナディアン Les Grands Ballets Canadiens」と共に出演、好評を博している。
「『輝夜姫』において特筆すべきは間違いなくその音楽性である。11名の日本人音楽家たち(8人の鼓童演奏者と3名の雅楽音楽家)の存在は、作品の物語を意味深いものにする上で不可欠な存在だ。太鼓の音は力強く、振付けにずっと深みを与えている。」Le Journal de Montreal(カナダ/2012年10月モントリオール・Les Grands Ballets Canadiens公演)
「太鼓打ちたちは最高に心揺さぶる演奏を繰り広げた。彼らの呼吸の合い方は、まるで一つの打楽器になってしまったかのようであった。そしてその響きは、雪の花びらが優しく降る様や、落雷の衝撃を想起させた。」Le Monde(フランス/2010年6月パリ・オペラ座バスティーユ公演)