この秋、砂畑好江が単独でイギリスに渡り、世界的に注目されている気鋭のコンテンポラリーダンサー、アクラム・カーン氏の最新作「Gnosis(ノーシス)」に出演します。この「Gnosis」は、アクラム氏の原点であるインドの古典舞踊(カタック)をベースに生み出される現代舞踊作品。砂畑好江は、トップクラスのインド系アーティストの中で唯一の日本人和太鼓奏者として参加します。11月にロンドンのサドラーズウェルズシアターで開催される「Svapnagata フェスティバル」(インド系アーティストによるインドの文化と伝統芸術紹介)のオープニング作品としても大きな注目を集めています。
1974年、イギリス・ロンドン生まれ。ダンサー・振付家。バングラディシュ人の両親のもとに生まれ、幼少より北インド古典舞踊(カタック)を学ぶ。大学在籍時からダンスを学び、創作をはじめる。2000年に自身のカンパニーである「アクラム・カーン・カンパニー」を設立。近年は現代最高峰のバレエダンサー、シルヴィ・ギエムや、モロッコ系ベルギー人のダンサー・振付家の シディ・ラルビ・シェルカウイ等と共作にも挑む。日本では、2009年3月に仏女優、ジュリエット・ビノシュとの共同演出・出演をつとめた舞台、「イン・アイ」(in-i)が話題となった。
ハンプシャー州イーストレイ
ロンドン
10月から現地で行われるリハーサルに先立ち、7月15日~17日にアクラム氏が来島し、鼓童村で3日間の集中稽古が行われました。
舞台の前半は「ポラロイドフィート」という曲をアクラムさんが踊り、私はそれを演奏するインド舞踊音楽隊の和太鼓パートとして加わります。使用するのは沖縄太鼓と締太鼓の座奏セット。締太鼓のフチ音も使ってニュアンスを出していきます。
今回の稽古のほとんどは、その演奏部分を口唱歌(くちしょうが/楽器の奏法や音程・音色などを言葉におきかえた「口譜」)を教わり、それを音にするといった内容でした。とにかく舌が回らないほど速い口唱歌で、どこがテンポに合っているのかわからない難しい曲でした。悔しいくらい、難しいです。
そして舞台の後半は、役を演じながらの表現です。演出の元になっているのは、「マハーバーラタ」というインド神話で、その中に登場する盲目の王女の役を頂きました。予想もしていなかった大役。私にとってとてもやりがいのある舞台となることは間違いありません。この稽古の間に、アクラムさんからの「唄を聴かせて、踊りを見せて」という要望に応え、できるものはすべてお見せしました。結果、多くの要素を取り入れていただき、私のすべてを表現できる舞台となりそうです。
最初、この企画のお話をいただいた時は「今の自分には無理だ」と思っていましたが、アクラムさんとお会いして、やるべきことが目に前に「ドン!」と置かれた今、前向きに決心しています。
とにかく、やり残すことのないよう、がんばります!
砂畑好江