獅子奮迅/吉田航大

▲吉田航大

暑さもようやく峠を越え、朝夕は涼しさを感じる今日この頃。皆様いかがお過ごしでしょうか。現在、博多座で連続上演中の「幽玄」にて、「獅子」を務めさせていただいております。

「獅子」をやるという話を初めて伺ったのは、研修所を修了して1ヶ月後すぐについた海外ツアーの途中でした。初めてのツアーで、天手古舞な日々の最中、「来年の作品の為」と代表、スタッフから話があり、帰国後何もわからず「かつら合わせ」に出向いたのを覚えております。

▲玉三郎さんとのお稽古

▲花柳壽輔さん/獅子のお稽古の様子(佐渡・鼓童村)

最初は、もちろん思うように毛を振ることができず苦戦しておりました。途中、玉三郎さんから「獅子をやるならば二幕は一切太鼓叩けないよ?」と心配もして頂きましたが、中途半端で終わりたくはなく、最後まで自分の役を全うしようと決めました。

そして今年の4月からは、花柳流家元 花柳壽輔さんをはじめ、花柳流舞踊家の方々に御指導して頂き、このように「獅子」として舞台を踏むことができました。

▲吉田航大/毛振り

「連獅子」とは、仔獅子(弟子)が親獅子(師)の試練に立ち向かうという物語から、古典の世界では襲名披露などで演ぜられる大曲です。今作「幽玄」の「獅子」にも、15年以上に渡って玉三郎さんからのあらゆる試練に立ち向かい成長してきた、ある意味では「鼓童の襲名披露」という思いが含まれていると、私は感じております。そのような歴史を背負うという使命感に奮い立たされながら、日々舞台に向かっております。

皆様、どうか最後まで宜しくお願い致します。

稽古・舞台写真撮影:岡本隆史

▲花柳壽輔さん(中央)、鼓童・渡辺健吾(右)、鼓童・吉田航大(左)、名古屋公演にて。

坂東玉三郎×鼓童特別公演「幽玄」