おすすめ!私の一枚(05)前田順康/ CD『Mondo Head』


僕のおすすめの一枚は、『Mondo Head』です。

高校生の時、通学のバスでほぼ毎日聴いていました。
自分の和太鼓の定義が崩れたというか、和太鼓って音楽だ!という今では当たり前の感覚を、このアルバムで知りました。

世界の素晴らしい打楽器奏者達との共演作です。
音楽のアプローチ、楽器の彩り、音色の自由さがたまらない、なんとインプロ!な一枚。
約20年前のアルバムですが、いつまでも新しい。

太鼓でこんなことできるんだなあと、今でも制作が行き詰まると聴きます。

 


中でも好きな曲は、《Kashira》と《Daraijin》です。

《Kashira》は、とにかくキタ感がやばい!笑
ツアーでも演奏されていたことがありますね。僕もやりたい!

《Daraijin》 は、タブラの音色に惹かれるきっかけでした。

20年後でもいいと思える音楽、20年後の太鼓打ちに嫉妬される音楽を作りたい!!

CD『Mondo Head』

↓試聴はこちら
https://www.kodo.or.jp/discography/sicp1_ja.html

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「粋」演目紹介 03: ヒトヒ(音楽編)/前田順康

ヒトヒ(音楽編)

Photo: Erika Ueda

今年の2月頃に、演出の裕一郎さんから「『p.p.c.』のようなコミカル踊り演目を作りたい」とお話を受けました。

その後、康暉さんと2人でアイディアを出し、“佐渡のもの”、“人形振り”、“これまでに教わった芸能”などのキーワードが出てきて、振り付けを康暉さん、音楽を私がという分担で少しづつ作り始めました。

最終的に踊りものとして作り上げよう!ということになり、踊っている側の体力的にはなかなかコミカルでないところに来ました! が、振りつけは、喜々としているので定義としての“コミカル”は守られました。

音楽は、佐渡の鬼太鼓、邦楽の三番叟物、そして個人的に好きなテクノ音楽をまたまた“るつぼ”に入れて作りました。

和太鼓とテクノ音楽、今回その間を持ったのは団扇太鼓です。(そもそも電子楽器を使わないので、テクノの定義として破綻していますが)

Photo: Erika Ueda

胴を持つ太鼓とは違い“フューチャー感”(個人の感想です)のある音色を持つ彼には、原始シンセサイザーを担ってもらっています。(シンセという定義もここでは破綻しています)

土の香ビートの中に光る原始シンセをお楽しみいただきたいです。

Photo: Erika Ueda

ヒトヒという曲名についてです。

“ヒトヒ”とは造語でして、
・一年に一日のまつり
・灯る燈
・集まる人
・一日中賑わう村
・古語っぽさ
・音の心地よさ
などから作りました。

佐渡のもの、日本のもの。
佐渡に息づく祭りを“持ってきた”。
そんな心意気で踊り、囃します。

Photo: Erika Ueda

Photo: Erika Ueda

鼓童浅草特別公演「粋」

2019.06.27(木)〜2019.06.30(日) 東京都台東区 台東区立浅草公会堂

鼓童浅草特別公演「粋」

<鼓童×ONKYO>コラボイベント
ONKYO BASE にて 6/25-7/3期間限定開催

https://www.kodo.or.jp/info/news_kodo/19752

9月ツアー再開!「道」公演もお楽しみに!

公演詳細:

https://www.kodo.or.jp/performance/performance_kodo/16691

9月以降のスケジュール

待望の新作DVD発売中!

Photo: Erika Ueda

この日を楽しみにしてくださっていた方も、「え‼そうなの!?知らなかった!」という方も、ぜひ1枚。見応えある94分、ノーカットライブ収録です。

発売日:2019年5月24日(金)
価格:4,860円(税込)

商品の詳細はこちらから。
http://store.kodo.or.jp/?pid=141745460

公演会場、鼓童オンラインストアにて販売中

「粋」演目紹介 01: 囃囃子/前田順康

囃囃子はやしばやし

今回の浅草公演『粋』では、この為に作曲したお囃子が登場します。

太鼓と鳴り物パートを私が、笛パートを木村佑太が作曲しました。どなたの耳にも馴染む、どこかで聴いたことのあるような、そんなお囃子でありたい。と、ちょっと出鱈目な名前をつけました。

Photo: Erika Ueda

どこかのお囃子を題材にさせていただいたというものではありません。

これまで、見聞きしたり、お祭りに入って感じて、また各地で教わり、囃してきたお囃子たちが、自分の中の“るつぼ”で溶け合いと混ざり合いをしていました。

それを今回のメンバー、浅草という場所、参加させていただいたお神輿など、いろいろな要素から割り出た“型”に流し込んでいく。

そのような作り方をしました。

Photo: Erika Ueda

“抽出、咀嚼、再構築”

鼓童はこれまでも、各地の太鼓や芸能に教えをいただき、芸をお借りして、頂いて、日本各地、世界各国で演奏をしてきました。

地元で育まれている尊い芸を、日本にはこんなものがあるんだよ!と、知らせていく。

日本人に、もしかしたら世界中の人に、共通している“ノリ”に触れられたらいいなと思っています。

Photo: Erika Ueda

“浅草に思いを馳せた”今回の舞台。
浅草の街中で味わうわくわく感。

祭りがやってきたよという心地を味わってもらえたら幸いです。

鼓童浅草特別公演「粋」

2019.06.27(木)〜2019.06.30(日) 東京都台東区 台東区立浅草公会堂

鼓童浅草特別公演「粋」

<鼓童×ONKYO>コラボイベント
ONKYO BASE にて 6/25-7/3期間限定開催

https://www.kodo.or.jp/info/news_kodo/19752

9月ツアー再開!「道」公演もお楽しみに!

公演詳細:

https://www.kodo.or.jp/performance/performance_kodo/16691

9月以降のスケジュール

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Photo: Erika Ueda

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「道」ブログリレー14: 蜘蛛の糸/前田順康

蜘蛛の糸

暗転の中、御詠歌ごえいか声明しょうみょうのような響きが聞こえる

大太鼓とシンバルが突沸する

その轟音の中からビートが沸き立って、滔々とうとうと流れる

切りさいて、捻じるようにソーナが鳴る

刻まれ続けるゴング、唸るチベットホルン

アジアの音の混沌

繰り返しながらかさを増すビート

音の渦にのまれていく

Photo: Takashi Okamoto

「HITOTSU」の中で私はリード楽器のソーナ(チャルメラ)を吹いています。

Photo: Takashi Okamoto

これまで、経験のなかった楽器ですので、リードの状態や、ピッチなど、気にすることはたくさんあります。

稽古や公演を見てくださった作曲者の狩野泰一さんに熱いダメ出しをもらいながら、、、

まずは大好きな「HITOTSU」の世界に入っていくこと、構成していくことを楽しんでいます。

Photo: Takashi Okamoto

この楽曲を聴いたり、演奏したりしていると、「蜘蛛の糸」の話に重なります。

なんだかどろどろと混沌とした吹き溜まりのようなところに、風穴が開くように、陽が射すように、“蜘蛛の糸-太鼓” が在って、、、

物語では、主人公カンダタはお釈迦さまに糸を切られ。また地獄に堕ちてしまうのですが、それは私益に囚われお釈迦様への信心を失ったからだと言われています。

そんな話と重ねて、対比して、鼓童は最後まで、太鼓を信じて、太鼓と居られたらなんて思うわけです。

Photo: Takashi Okamoto

プログラムの中ではちょっと味の違う演目。

心地よい違和感。スリリングな安心感。

解説なしでお能を観るように、理解、想像の奥ゆきがそこにあります。

そんな “ゆかしさ” を感じてください。

次回の道ブログリレーは
「あの時の興奮を〜三宅〜/渡辺健吾」
お楽しみに!

「HITOTSU」収録の鼓童CD『回帰』/オンラインストア
http://store.kodo.or.jp/?pid=128516724

Photo: Takashi Okamoto

 

公演詳細:

https://www.kodo.or.jp/performance/performance_kodo/16691

6月以降のスケジュール

待望の新作DVD発売中!

Photo: Erika Ueda

この日を楽しみにしてくださっていた方も、「え‼そうなの!?知らなかった!」という方も、ぜひ1枚。見応えある94分、ノーカットライブ収録です。

発売日:2019年5月24日(金)
価格:4,860円(税込)

商品の詳細はこちらから。
http://store.kodo.or.jp/?pid=141745460

公演会場、鼓童オンラインストアにて販売中

対流/前田順康

雪のない佐渡の1月を過ごし、冬に油断したままヨーロッパに到着しました。
言うまでもないのですが、寒さに容赦のないヨーロッパ。
布団のような上着を着ていても、耳や指が、外気と触れていると、取れてしまいそうです。

それでも、室内は暖かく、特に、エアコンがかかるホテルの部屋は暑いくらいで、乾燥も助けて、手洗いした衣装があっという間に乾いてしまいます。

冬の暖かい部屋の扉を開けると冷たい空気が勢いよく入り込んできて、空気が混ざっていきます。
劇場でも、空気の対流に似たことが起こるのを感じます。

 

客席には今まさにその国の日常を過ごしている人が座っていて、
幕を隔て、ステージの上には、日本の職人さんが作った太鼓が並び、ふんどしとハチマキを締めた日本人が立っています。

そのふたつの空気、幕が上がると同時に“対流“が起こります。
劇場の空気がかき混ざり始め、終演の頃にはその国のものでも、鼓童のものでもない空気が練り上がっています。

 

僕はこの舞台で起きる“対流“にいつもゾクッとします。国内でもそうです。
昼公演だと、夜公演だと、雨の日だと、、、
同じ空間の中で、その瞬間に生まれてくる音を、鮮度そのままにお互い味わって。
写真や映像では捉えきれない、その場にいる人だけが感じられる空気が生まれて。

 

今日、Youtubeで、Netflixで、Spotifyでありとあらゆることを享受できます。
そんな時代でも、鼓童はめちゃくちゃに大きな太鼓を運び、屋台を組み、その日の為のバミリをし、その日の為のチューニングをして、汗まみれで太鼓を打ちます。

食事が食卓の空気によって美味しくなるように、ステージの上、緞帳の裏にどんな空気を作って待っているかが大事だと思っています。

 

鼓童にとって52カ国目となる、リトアニアの公演を終えました。
40年近く、52の国と交換してきた空気を持って旅は続いています。

 

 

今日の劇場はこちら (2020年2月4日)

鼓童ワン・アース・ツアー2020「Legacy」ヨーロッパツアー