鼓童の音のはじまり/内田依利

研修生新一年生を迎え、17人で新たなスタートを切った柿野浦研修所。今年の初日はバチ作りと研ぎでした。

Photo: Eri Uchida

見留知弘指導の元、何故自分でバチを作るかから、材の選び方、削り方の工程1つ1つを丁寧に教えてもらいます。教えてもらっていることは、見留が自ら身体を動かして試し、おそらく失敗もし、蓄積されてきた知恵の宝が詰まっています。

「バチを作るのは自分の音を作ること」

研ぎを教えてくださった地元の大工さんも、
「道具が切れると、仕事もキレる」
改めて自分にとっても耳が痛い言葉です。

Photo: Eri Uchida

いくらわかりやすく教えられても、1日でできるようなことではありません。
これからどんどん忙しくなる研修生活の中で、どれだけ自分で時間を作って、言われていることを身体で覚えていけるか。

Photos: Eri Uchida 研修所で学ぶ根っこの部分。物事の大本、本質。
どれだけ世界に行こうが、華やかなことをしようが、忘れてはいけないことだと思いました。

 


ヴォイス・サークル/梅垣晶子

佐渡でも鶯の声が鳴り響くようになった今日この頃、深浦学舎で藤本容子さんによる、研修生のための
ヴォイス・サークルが行われ、参加させていただきました。

Photo: Akiko Umegaki

室内での発声練習のみならず、小春日和の青空の下、広い校庭では、自分が心地よいと感じる場所を選んで歌うワーク。森に響く自分の声、周りの声、鳥のさえずりや土を踏みしめる足からの感覚、近くに歩み寄ることにより、それらが、どう折り重なり、聞こえるかを感じます。

そして何より、外で大きな声で歌うってとっても気持ちがいいんです!

Photo: Akiko Umegaki Photo: Akiko Umegaki

また、好きな楽器を選んで、歌にそれぞれのリズムを合わせて、みんなで曲を完成させていったりもしました♪(特別ゲスト:宿直の草洋介

Photo: Akiko Umegaki

2日目の夜は、研修生お手製のトビウオのつみれ鍋。「写真を撮るよ〜。」と言ったら、みんなトビウオの真似をしてくれました。お鍋に入った大根は研修所産、ポン酢も手作りです。

食後は、甘酒を飲みながら、ひとりひとり好きな歌を歌い、お互いを褒め出すワーク。成長した研修生を見て、思わず泣きそうになってしまいました。

3日間で、小木おけさや木曽節などの日本の民謡を始め、アイヌ歌謡、ガーナ、パプアニューギニア、ニュージーランドの曲、そして容子さんが作詞・作曲した歌も歌いました。

Photo: Akiko Umegaki

もちろん、苦手な歌い回しのお稽古もみっちり行います。

Photo: Akiko Umegaki

タケは、逆立ちして小木おけさを歌うことに挑戦し、自分の壁を超えたようです。

Photo: Akiko Umegaki

最後は、仲間一人一人のために歌うワークです。なかなか照れます。

Photo: Akiko Umegaki

容子さんから、歌だけではなく、容子さんたちが作ってきた鼓童の歴史や繋がりも教えていただきました。

歌が苦手とか下手とかは関係なくて、ヴォイス=声、歌、言葉というひとりひとりが持っている楽器でもって、仲間とまあるく輪になって繋がる気持ちの良い時間。そして、容子さんの大きな愛に包まれた時間でした。

最後に、研修生から『ようこさん LOVE』のオムレツ❤

Photo: Akiko Umegaki

鼓童文化財団研修所


新研修生面接にて/内田依利

1月7日・8日の1泊2日で、「太鼓芸能集団 鼓童」メンバー養成コースの新研修生を選考する実地面接を柿野浦研修所にて行いました。

1日目の夕方、現研修生による稽古発表の時間がありました。次の後輩へむけて張り切って演奏する研修生たち。年末年始は9ヶ月ぶりに実家に戻った研修生たちから出ていた言葉は、どれも実感がこもっていました。

「人間はすぐに怠けたがる!」

下界(研修生は島外をこう呼ぶ  笑)には人を怠けさせるものにあふれていて、いくら集中しようとしても、誘惑が多すぎると気づいたようです。
目の前のことに集中できないので、やることも雑になり、やる気も失せていく感覚があったと話してくれました。研修所では、必要最低限のものしかないから工夫することを覚えて行きます。研修所が、いかに集中して学ぶことに恵まれているかを心から実感したと言っていました。また、他には今まで親が当たり前にやってくれていた、料理、洗濯、掃除がいかに大変なことか分かりましたと言っていた研修生も。

世の中の20歳前の人たちが、どれほど実感を持って、このようなことに気が付けるだろうかとしみじみ思ってしまいました。

4月、高卒の何名かの研修生たちは、学生気分が抜けませんでした。その頼りなかった学生たちが、みるみるしっかりと研修生になり、若者の顔になっていきます。そんな中でも一緒に過ごして色々伝えていると、本当に伝わっているのだろうかと心配になる時もあります。

ですが、今回の彼らの素直な気持ちから出てきた言葉は、ちゃんと受け止めてそれぞれの種を育ててくれていることを教えてくれました。

彼らに学ばせることや教えることはできません。

できるのは種を蒔き、環境を整えること。

悩みながら、工夫しながら、失敗もしながら自分なりに気づいて育てた種は、自分だけの花にいつか育ってくれると思います。

新しい研修生にも期待しつつ、みるみる変わっていく研修生の成長スピードに自分も食らいついていきたいです。


伊藤多喜雄さん追い込み稽古!〜研修生最終発表会/内田依利

伊藤多喜雄さん追い込み稽古!〜研修生最終発表会

毎年12月、最後の発表会直前の追い込みの時期に、研修所では民謡歌手の伊藤多喜雄さん稽古期間があります。

熱く熱く、研修生一人一人と向き合い、自らも歌い続けてくださる稽古が続きます。

お腹の中から叫びたくなるような歌を。内臓全体で歌うんだと。民謡にも色々な歌があり、その背景も実感とともに話しくださいます。自らの50年の民謡歌手人生を切り分けてくださる貴重な時間です。その時代や仕事の様子が目に浮かぶような話しぶり。

木造の研修所校舎に、外では雪が降っていて、ストーブ一つではなかなか暖まらない室内。そこに故郷への思い、辛い仕事も受け入れること、仕事の帰りを待ちわびる思い、そういう思いを重ねてみろと。毎日やることがたくさんあって、忙しい研修生も、この最後の発表会の時期に初心を思い出した様です。

1年生は進級発表会、2年生は最終発表会。この多喜雄さんの稽古期間を経て、研修生活の思いを音に込めて打ち込み、歌い、踊りました。技術的には未熟であっても、やはり原点はこの思いが本気であるかどうか、伝わるかどうか。発表会はいつも、見ているこちらも身が引き締まります。

この音で、今年一年を締めくくりました。ありがとうございました! お疲れ様でした!