吉井盛悟、世界14ヶ国のアーティストが創り上げる舞台「Babel(バベル)」に出演

吉井盛悟が単身ベルギーに渡り、世界14ヶ国から集まった13人のダンサーと5人のミュージシャンが出演する作品「Babel(バベル)」に出演します。

この作品は、現在、世界的にも注目されているベルギー出身の振付家/ダンサーのシディ・ラルビ・シェルカウィ氏とダミアン・ジャレ氏が演出、振付を手がけ、イギリスを代表する彫刻家アントニー・ゴームリー氏が舞台美術でコラボレーションを果たしています。

「Babel」リハーサル風景

Photo by Koen Broos.
Babel Rehearsal, featuring Shogo Yoshii, Jon Filip Fahlstrom, and Damien Fournier

吉井盛悟 Babel 2010年公演日程

演出・振付
シディ・ラルビ・シェルカウィ、ダミアン・ジャレ
舞台美術
アントニー・ゴームリー
出演アーティスト
出身国
ダンサー/オーストラリア、ベルギー、カナダ、フランス、日本、モロッコ、ノルウェイ、ポルトガル、南アフリカ、スウェーデン、イギリス、アメリカ
ミュージシャン/イタリア、インド、日本

4月~9月

ベルギー、スイス、イギリス、スペイン、ドイツ、ルクセンブルグ、フランス、イタリア、オランダ

10月4日(月)、5日(火)

ベルギー・ヘント

Capitole Ghent, Gent Festival van Vlaanderen

ウェブサイト
http://www.festivalgent.be/

10月8日(金)、9日(土)

フランス・メス

L'Arsenal

ウェブサイト
http://www.arsenal-metz.fr/

10月12日(火)、13日(水)

オランダ・アムステルダム

Stadsschouwburg Amsterdam

ウェブサイト
http://www.ssba.nl/

10月16日(土)

ベルギー・ヘンク

Cultureel Centrum Genk

ウェブサイト
http://www.genk.be/

10月21日(木)、22日(金)

フランス・ディジョン

L'Opera de Dijon

ウェブサイト
http://www.opera-dijon.fr/

10月30日(土)

オーストリア・ザンクトペルテン

Festspelhaus St. Polten

ウェブサイト
http://www.festspielhaus.at/

11月5日(金)~7日(日)

フランス・リール

Opera de Lille

ウェブサイト
http://www.opera-lille.fr/fr/

11月16日(火)、17日(水)

フランス・ルーアン

Opera de Rouen

12月3日(金)、4日(土)

フランス・ニース

Theatre National de Nice

ウェブサイト
http://www.tnn.fr/

12月9日(木)~11日(土)

ドイツ・ベルリン

Berliner Festspiele

12月15日(水)~18日(土)10月20日更新

ベルギー・アントワープ

De Singel

ウェブサイト
http://www.desingel.be/

シディ・ラルビ・シェルカウィ Sidi Larbi Cherkaoui

Sidi Larbi Cherkaoui

ベルギー生まれ。1999年に振付家としてデビュー。2000年に振付けた『Rien de Rien』では、数々の賞を受賞。以降、世界の主要な劇場やフェスティバルの新作プロデュースを手がけて、次々と話題作を発表。『Rien de Rien』『Foi』『Tempus fugit』と平行して、長年の演出パートナーのダミアン・ジャレ、ファン・クルズ・ディアズ・デ・ガライオ、リュックと『D'avant』 を手がける。アクラム・カーンとのプロジェクト『zero degrees』は、日本でも上演され好評を集めた。世界で最も注目を集める若手振付家の一人。

ダミアン・ジャレ Damien Jalet

Damien Jalet

ベルギー生まれ。1998年にヴィム・ヴァンデケイビュスなどの作品にダンサーとして出演してデビュー。『Foi』『Tempus fugit』『Loin』『Myth』にて、シディ・ラルビ・シェルカウイとの共同作業、そしてダンサーを務める。また2002年にはベルリンのシャウビューネ劇場40周年記念制作作品『D'avant』に共同振付・ダンサーとして参加、世界的に高い評価を受ける。このほかオペラ・映像作品など多方面に渡り活動。

様々な壁を越えて

この作品タイトルの「バベル」というのは、旧約聖書「創世記」に登場する、あの「バベルの塔」のバベルのことです。かつて世界が一つの言葉を使っていた頃、天まで届く塔を建てようと企てた人間の奢りに対し、神が違う言葉を与えて互いの意思疎通を図れなくしたという神話、そして、言語の違いからくる混乱、そこにある「境界、壁」の由来です。

この作品の出演者、その国籍は十三ヶ国にも及びます。実際に稽古が始まって、僕自身その「壁」に悩まされました。第一はまさに言葉の壁でした。演出家が望む細かいニュアンスについていくのも精一杯でしたし、自分から提案したいことも巧く説明しきれません。それは僕だけではないようで、イタリア語、フラマン語、フランス語、インド語、トルコ語などいくつもの言語が飛び交い、お互いに気持ちを通わせようと努力していました。壁は言葉だけではなく、音階やリズムにもありました。トルコ音楽の音階を胡弓で弾くことには苦戦しました。まず、調弦をどうするかというところから「ちょっと待って、ちょっと待って」の連続でした。また、リズムも同じです。イタリアのパーカショニストが譜面を書いて、それに自国語の口唱歌をふるインドの方々。四分音符に対し「これはターなのか、ダァなのか。」と質問。楽器や音楽の構造が違うのでちょっとやそっとじゃ馴染みません。いざ、音を合わせてみると「これは音楽として面白くないんじゃないか?」と。根本的な感覚の違いすら見え隠れします。

近づこうと思い互いを知れば知る程、逆に自分との違いが見えてくる。その違いの壁をどのように崩すか…。これは神話が物語る世界観に対する挑戦のようです。しかし、時間を重ねていくうちに、その違い自体を楽しんでいる気持ちが生まれてきました。

「創世記」には、バベルの塔は奢りの象徴として描かれているそうですが、今、14ヶ国に散らばった文化を背負い集まった仲間と築こうとする塔は、思いやりに溢れています。それは「高い塔」ではなく、広がりがあり、膨らみがある「球」のようです。

吉井盛悟

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