坂本雅幸よりご挨拶

昨年の12月の打男公演をもちまして鼓童を退団いたしました。

東京の千秋楽では立ち見が出る程たくさんのお客様にお越し頂き、とても良い形で鼓童の演奏者としての舞台を終えることができました。

Photo: Takashi Okamoto

体力的に厳しい内容ではありましたが無事に最後まで務められた事、鼓童のメンバーをはじめ、関係者の皆様、国内、海外から応援して下さった皆様、地元津山の皆様、そして頑丈な身体に産んでくれた両親に、心より感謝しております。

私は高校2年生の時に初めて鼓童を見たのがきっかけで研修所に入所しました。当時はスマホ、インターネット環境もなく、高校を卒業したばかりの私はほとんど何も鼓童の事を知らないまま佐渡に渡りました。

鼓童の理念も知らず、伝統芸能に関しても全くの無知、打ち方もドラマーっぽいと言われ続け、農作業も岡山の実家の手伝いの延長くらいにしか思っていませんでした。

1年次の終わりに当時としては珍しい進級保留になったくらいなのでいわゆる問題児だったのかもしれません。

そんな私でしたが、新人の頃から中心的なポジションに抜擢していただき、至らないところも多々あったと思いますが皆様からのご指導ご鞭撻を頂きながらなんとか日々務めてまいりました。

鼓童の演奏者としてずっと続けていくというのも一つの選択肢ではありましたが、私は新たな道を歩んでみたいと決心いたしました。

私は元々はロックの出身です。自分が憧れたミュージシャンのように自分のメッセージ、伝えたい思いをちゃんと音に出来るような太鼓打ちを目指したいと思っています。ローランドさんと開発している電子太鼓もそんな自身の表現の一端としてお披露目出来る日が来ると確信しておりますので、どうぞご期待下さい。

なかなか気持ちや身の回りの整理もつかずご挨拶が遅くなり申し訳ありません。今は年明けからヨーロッパに来ておりまして、太鼓にも触れながら少しゆっくりと過ごしております。近いうちにこれからの活動を紹介する自身のホームページなどを整理して情報発信をしていく予定です。

Photo: Mayumi Hirata1月末、ロンドンにて/撮影:平田まゆみ

鼓童の演奏者として皆様の前で演奏させて頂いたことを誇りに思います。

鼓童での15年間、本当にありがとうございました。そしてこれからの坂本雅幸もどうぞよろしくお願いいたします。

坂本雅幸

Photo: Takashi Okamoto

雅幸・鼓童として最後の舞台「打男 DADAN 2017」、終演後の楽屋口にて
2017年12月24日 文京シビックホール(撮影:岡本隆史)