~結成30周年に寄せて~
鼓童結成から30年、前身の鬼太鼓座時代から40年という歳月を重ね迎えた2011年。それは鼓童グループにとって大きな節目の年になるかもしれません。次の50年・100年と続けていくために今何をすべきなのか、何を大切にしていくべきなのか、虚心坦懐、私なりに思いめぐらしています。
『鼓童の舞台は、いつも変わらないね』と言われることが多いのですが、それは「毎度お馴染みこそがいい」というご贔屓目と「代わり映えがしない」というご批判の両極の意味に捉えることができます。いずれにしても私は『変わらないね』と言われ続けていくことが重要であり、そのために常に向上させていかなくてはいけないと思っています。
鍛え抜かれた肉体性、ひたむきで多様な舞台、「変わらぬ鼓童の原始の感動」、その「いつも変わらない味(表現力)」をお届けすることは当たり前のことであり、そこをさらに深めて「研ぎ澄まされたしなやかさ」を表現できるかどうか、私はそこに鼓童が存続できるかどうかのキーポイントがあると思っています。表層的な目先の変化ではお客さまに見抜かれてしまうでしょう。それでは長続きはしません。
1971年の鬼太鼓座旗揚げ以来、様々な太鼓グループが生まれてくるなかで、同じものを出したら、舞台の質が落ちたと言われてしまいます。ベースになる「型」は変えずに、お客さまの鑑賞眼の一歩上の表現力(味)を出しつづけることが「変わらない」と言われ続ける極意だと思っています。それは言葉で理解していても、そう簡単に習得し、実践できることではありません。
40年という歴史の中で数々のメンバーが入れ替わってきましたが、現在の鼓童が成すべき大事なことは その蓄積で培ってきた「型」を学び、その基本的な「流儀」を知った上で自由な表現方法を挑戦的に開発していき、実は変わってるけれど、変えているけれど「鼓童は変わらない」と言われ続けていくことなのです。そのためにはまだまだ並々ならぬ努力、血のにじむような修練を積んでいく必要があります。
「型」という概念を言葉で説明するのはとてもむずかしいことですが、「型」とは骨組だけなのです。肉付けは各個人にまかされ、そこにその時代を瞬間瞬間生きる各人の創造性が発揮されなくては意味がありません。現在の日本で「型」と呼ぶ時、誰かが行った肉付けのものまで「型」と思い込んでしまう危険性があります。学ぶほうはそれに近づこうと努力をするだけでそれを超える新しいことが生み出されません。伝統とは過去ではなく、瞬間瞬間の現在そのものです。
次の50年、100年と意識を高めて探求し、深層的な「変わらぬ鼓童の原始の感動」を目指して向上し続けていかなければなりません。鼓童が成長するのは まだまだこれからです。
『変わらぬ鼓童の原始の感動』を体感し続けていただくためにも、『鼓童の舞台は、いつも変わらないね』と言われ続けるためにも、絶えず、お客さまの鑑賞眼の一歩上の表現力(味)を探求しつづけることこそ、今の時代に生きる鼓童が目指すべき役割なのだと思っています。
どうぞ本年も、皆様の変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。そして、皆様にとって素晴らしい一年でありますことを佐渡より鼓童一同お祈り申し上げます。
鼓童代表 青木孝夫

鼓童代表 青木孝夫