2011年は、文字通り多事多難の年として後世にも伝えられ、大きな時代の転機と位置づけられる年になると思われます。鼓童グループにとりましては、鼓童結成30周年を迎え、新たな30年への第一歩となる、心の引き締まる年でもありました。

6月に、鼓童の30年に前史の鬼太鼓座の10年を加えて、40年の活動をまとめた記念誌『いのちもやして、たたけよ。−鼓童三〇年の軌跡−』を出版することが出来ました。この出版準備のための資料の再点検作業を行う中で、鼓童の未来への多くの示唆を得ることが出来ました。
また、鼓童文化財団の公益財団法人化への申請事務に努力し、11月には認可を受けることが出来ました。この作業の過程において、鼓童グループの中での当財団の位置付けと、そのあるべき活動について、改めて認識を深めてまいりました。

鼓童文化財団の使命とは何か。
まず一つめは、「太鼓芸能集団 鼓童」が和太鼓を舞台芸術という形に昇華させたことの背景にあるものを、今度は言葉で組み立て、広く伝えていくことだと考えます。
言葉が介在しないため、海外でも和太鼓の魅力はすぐに感じ取ってもらうことができます。しかしその一方で、表面に見えるものだけではなく、その奥にある文化的な背景についても知りたいという欲求が高まっているのです。

二つめは、広く社会で活躍できる創造性をもった人材を育成することです。
表現(=芸)には、その人の生活や考え方が全部表出してきます。「太鼓芸能集団 鼓童」の伝承者を育成するということは、すなわち「人づくり」をすることにほかなりません。
その意味で、鼓童文化財団研修所は、「くらす・まなぶ・つくる」という、鼓童が活動していくにあたって基本に掲げている考え方、つまり人間本来のあり方を学び、自分を創り上げていくための、実践の場であるべきだと考えます。

そして三つめは、「佐渡」への関わりです。
様々な生活習慣、農耕習俗と密接につながる祭りや芸能が数えきれないほど存在する。この佐渡のように、日本の「原型」とも呼べる暮しが残っている地域は、おそらく他にはありません。
この佐渡の魅力を内外に伝え、文化・観光振興や交流人口の増加を図り、少子高齢化、後継者不足により衰退が進む地域を活性化し、我々を長年にわたり育んでくれた佐渡への恩返しを、少しでもさせていただきたいと考えております。

2012年は、佐渡の小木地区で続けてまいりました「アース・セレブレーション」が、25周年を迎えます。
この「アース・セレブレーション」の精神は、当初と変わるものはございません。多様な文化を携えて人々が行き来し、身体と心で感じ合い、理解し合う交流の場を作ること。さらに全島的に理解、共感の輪を広げていくことが、今年度の我々の課題となることでしょう。引き続き地域に学び、発信してまいります。

今後とも、皆様の更なるご支援とご鞭撻を重ねてお願い申し上げます。

2012年4月

公益財団法人 鼓童文化財団
理事長 島崎信

鼓童