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【幽玄・特番放映!】玉三郎×鼓童=幽玄~17年の絆 能の世界へ~/3月26日(日)11時30分~BSジャパン


「幽玄」特別番組
『玉三郎×鼓童=幽玄~17年の絆 能の世界へ~』
BSジャパンにて3月26日(日)11時30分~放送!

Photo: Takashi OkamotoPhotos: Takashi Okamoto

2017年3月26日(日)11:30より、BSジャパンにて「幽玄」特別番組『玉三郎×鼓童=幽玄~17年の絆 能の世界へ~』が放映されます!

歌舞伎界を代表する女形・坂東玉三郎と太鼓芸能集団・鼓童による、新たな共演作「幽玄」。大ヒット作「アマテラス」以来10年ぶりとなる待望の新作を、その構想段階から稽古、玉三郎の演出風景まで密着取材。5月の公演に先駆け、玉三郎と鼓童の魅力に迫ります。

放映をお楽しみに!

BSジャパン『玉三郎×鼓童=幽玄~17年の絆 能の世界へ~』

放送日時
2017年3月26日(日)11時30分~
放送局
BSジャパン
出演
坂東玉三郎、鼓童、花柳壽輔、花柳流舞踊家
番組サイト
http://www.bs-j.co.jp/official/kodou/

 

歌舞伎俳優の人間国宝・坂東玉三郎が、10年ぶりに太鼓芸能集団「鼓童」と共演! 17年前の出会い以来数多くの舞台を成功させてきた玉三郎氏×鼓童の集大成が「幽玄」。前回の共演「アマテラス」では日本神話を題材にカラフルな舞台で大ヒットを生んだが、今回のテーマは「能」。抑制された動き、研ぎ澄まされた感性の古典芸能に、太鼓演奏で挑む! 佐渡の自然豊かな稽古場での知られざる創作の裏側に密着!!

玉三郎×鼓童=幽玄~17年の絆 能の世界へ~

2016年5月。佐渡・鼓童村では「謡(うたい)」のための発声練習が始まっていた。今回玉三郎氏が演出・共演する公演「幽玄」の稽古だ。夏の佐渡公演、秋の全国ツアーの後、再び佐渡に結集した鼓童メンバーに、玉三郎氏が演出構想を伝える。

玉三郎×鼓童=幽玄~17年の絆 能の世界へ~

一幕「羽衣」二幕は「道成寺」「石橋」という能の舞台が題材。しかも太鼓と笛のみの演奏という。舞踊で共演する花柳流五世宗家家元花柳寿輔氏と共に、舞台は作り上げられていく。

玉三郎×鼓童=幽玄~17年の絆 能の世界へ~

 

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http://www.kodo.or.jp/news/20170500yugen_ja.html


「坂東玉三郎×鼓童特別公演 幽玄」製作発表


「坂東玉三郎×鼓童特別公演 幽玄」製作発表

Photo: Takashi Okamoto

本日、都内にて「坂東玉三郎×鼓童特別公演 幽玄」製作発表を行い、坂東玉三郎さん、鼓童メンバーの石塚充、中込健太、北前船代表取締役社長の青木が登壇いたしました。会見でのコメントを写真とともにお届けいたします。

坂東玉三郎

Photo: Takashi Okamoto鼓童とは、2006年の「アマテラス」で共演し、その後、2012年から4、5作と様々な作品を創らせて頂きました。そして2017年「アマテラス」に続く共演作として「幽玄」を上演いたします。

これまで、色々な作品を創ってまいりましたが、他の作品のお稽古の中で、ここにいる石塚充さん、中込健太さん、そして本日はいらっしゃいませんが、代表の船橋裕一郎さんたちと、「あなたたちはどんな作品が創りたいの?」という話になったんです。そうしましたら、「“日本のもの”を創りたい」と答えたんです。ただ、日本の様式を創るのはとても大変難しいという話をしました。もちろん和太鼓は日本のものであります。和太鼓の世界であれば、それなりのものができますが、日本の様式をもった美しさのある舞台を創るのは、難しいと思っているからです。しかし、それから色々と考えまして一昨年から“日本のもの”に向かって創りはじめました。

 

“日本のもの”というと、これまでもやってきたじゃないかと言われそうですが、極端に日本的なものというと世阿弥の世界かなと思います。歌舞伎は、世阿弥よりも(年月が)もっと下りますからね。太鼓というのは太古からあります。日本の独特の芸能の世界、舞台芸術というと、「能楽」を題材にした方がいいと思いました。

私が歌舞伎的なものやればそれで済むのでしょうが、鼓童とやるからにはあえて「幽玄」という世界。鼓童(の作品)とも歌舞伎とも違った世界に行きたいと思います。

Photo: Takashi Okamoto

─内容について

第一幕で「羽衣」の物語をやらせて頂きます。第二幕は、はじめ「石橋」だけと考えていましたが、やはり私が歌舞伎の世界からやってきたということもあり、「道成寺」の世界です。私が着ております衣装あるいは様式は、歌舞伎的な雰囲気を持ち込みたいと考えています。

─玉三郎さんの演じる役は?

「羽衣」では、天女を演じます。「道成寺」では、花子を演じます。「石橋」は、獅子として登場します。他にも天女のワキツレ等、花柳流の家元さんやお弟子さん、そして鼓童のメンバーにも出て頂く予定です。

Photo: Takashi Okamoto

─稽古で苦労している点は?

今回鼓童のメンバーは能楽の楽器を用いて、演奏する訳ではございません。その様式をもらって、翻訳していくわけです。ですので、その点は大変です。

歌舞伎にも能楽にも決まり事はあります。しかし、観阿弥、世阿弥の頃は違って、もっと自由だったと思うのです。ただ、決まり事を壊すだけ、自由で楽しければよいというものでもありません。その線引きをしていくのが稽古です。鼓童は、ちゃんとお稽古をしている人たちです。あまりにも芸能の幅が広くなってしまったために修行できる時間と場所が限られている。でも、佐渡というところに入って、ずっと稽古をし、自分たちを理解していくことができる。

この鼓童という素材でどれだけお客様が楽しんで頂けるものをできるか、というのが私の課題です。

Photo: Takashi Okamoto

石塚充(鼓童)

こんなにも早く、玉三郎さんと舞台の上でご一緒させて頂く機会を与えて頂き、さらにオーチャードホールをはじめ、全国各地の名だたる劇場で、上演をさせていただくことは、この上ない喜びであり、そして、身が引き締まる思いです。

今回は日本の伝統芸能を題材にしているということで、これまでよりも敷居が高く、難易度の高く、大変難しい作品にはなるかと思いますが、それをお客様にはシンプルに楽しんで頂けるように、皆さまの記憶に残るような素晴しい作品になるよう精一杯務めさせて頂きます。

能楽の稽古は、まず正座が大変ですね(笑) また、普段鼓童の作品は人間が生活をしている様や呼吸が通った音楽を演奏しますが、能楽は「人間じゃないところに行く」という印象です。先生方の呼吸等を見ていると、人間であるということを超えて行くという印象があります。

玉三郎さんがいらっしゃる前の鼓童は、しきたりのようなものがありました。そこへ玉三郎さんがいらして、何故そうしなきゃならないのかという疑問を投げかけられるんです。否定をするでも肯定をするでもなく、いつもニュートラルな状態で、発想として自分たちには無いことをおっしゃるんです。おかげで、今の鼓童は風通しがよくなり、明るく自由になったと思います。

Photo: Takashi Okamoto

中込健太(鼓童)

今まさに能楽の勉強を皆でしていますが、同じ太鼓でもこんなにも表現が違うものなのかと難しさを感じているところです。いつも玉三郎さんとご一緒するとき、玉三郎さんは今まで気付かなかったような太鼓の響きを気付かせてくださいます。今回もどんな新しい太鼓の響きが発見出来るのか楽しみです。

Photo: Takashi Okamoto

青木孝夫(株式会社北前船 代表取締役社長)

鼓童は2000年に坂東玉三郎さんと出会い、創立25周年の2006年に玉三郎さんとの共演の「アマテラス」という神話を題材にした作品を上演させて頂きました。玉三郎さんと共演ということは鼓童にとっては、夢のようなお話だったのですが、また今年このように実現することが出来ました。この17年間の玉三郎さんのご指導により鼓童が成長した姿をお見せできると思います。

テーマが「幽玄」ということなので、前作と比べ、さらに鼓童のメンバーたちに表現の緻密さと深さを求められることになると思います。一昨年から玉三郎さんのご指導に加え、主に能楽の先生方、花柳流の家元にもお力添えをいただき、とても充実した稽古をさせて頂いています。

世阿弥が言っている「珍しきが花」というように、鼓童の演奏によって、天地をつなぎ、宇宙にも届くような演奏をし、今までにないような作品が生み出せればと思っています。

Photo: Takashi Okamoto

撮影:岡本隆史

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[Astage]「アマテラス(2006年初演)」に続き共演第二弾!坂東玉三郎×鼓童 特別公演 幽玄〜製作発表会見
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[RanRanEntertainment]坂東玉三郎、「鼓童」との共演第二弾『幽玄』の製作を発表!
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[エントレ]坂東玉三郎「鼓童でも歌舞伎でもない、幽玄を作る」/「幽玄」製作発表レポート
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[シブヤ経済新聞]渋谷Bunkamuraで坂東玉三郎さんと太鼓集団「鼓童」再共演へ 能の演目題材に /東京
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[ステージナタリー]渋谷Bunkamuraで坂東玉三郎さんと太鼓集団「鼓童」再共演へ 能の演目題材に /東京
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[スポーツ報知]坂東玉三郎、太鼓集団「鼓童」と「アマテラス」以来2度目共演
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[スポニチアネックス]坂東玉三郎 太鼓集団「鼓童」と共演再び「魅せる舞台にしたい」
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2017/02/02/kiji/20170201s00041000328000c.html

[デイリースポーツ]坂東玉三郎、鼓童と2度目の共演「僕にとってもトライだった」
https://www.daily.co.jp/gossip/2017/02/01/0009878311.shtml

[テレ朝news]玉三郎、和太鼓集団と2度目共演!能を表現
http://news.tv-asahi.co.jp/news_geinou/articles/hot_20170201_160.html

[演劇キック]坂東玉三郎×鼓童の共演第二弾 『幽玄』!製作発表レポート
http://kangekiyoho.blog.jp/archives/52018710.html

[歌舞伎美人]玉三郎が演出・出演『幽玄』を語る
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[東京中日スポーツ]玉三郎×鼓童 再コラボ 花柳流お家騒動「影響なし」
http://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/entertainment/news/CK2017020202000149.html

[日刊スポーツ]坂東玉三郎、太鼓集団・鼓童と再共演 能演目を表現
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/1772990.html

[サンケイスポーツ]坂東玉三郎が密着カメラに苦笑「稽古はしにくいです。言いたいことが言えない」

http://www.sanspo.com/geino/news/20170201/geo17020119440039-n1.html


気魄の伝受 〜「幽玄」稽古場レポート〜/文・伊達なつめ


気魄の伝受
〜「幽玄」稽古場レポート〜

文●伊達なつめ 撮影●岡本隆史

Photo: Takashi Okamoto

葛野流家元・亀井広忠先生による能楽囃子の稽古の様子

2016年11月中旬、佐渡にある鼓童の稽古場を訪ねた。この日は、能楽囃子のうがくばやし大鼓方おおつづみかた葛野流家元かどのりゅういえもと亀井広忠かめいひろたださんが、能の囃子とうたいについて指導するために、また、舞の振付および立方たちかた(踊り手)として共演する日本舞踊・花柳流はなやぎりゅうの若き家元・壽輔じゅすけさん、達真たつまさん、源九郎げんくろうさんの三人も、稽古に参加していた。

Photo: Takashi Okamoto

玉三郎さん、花柳壽輔さん、達真さん、源九郎さんのお稽古の様子

今回の『幽玄ゆうげん』には謡曲ようきょく羽衣はごろも』、『道成寺どうじょうじ』、『石橋しゃっきょう』の一節を取り入れる予定で、準備が進められている。まずは亀井さんが、『羽衣』の場面で使われる「序ノ舞じょのまい」について、「いちばん品があって、位の高い舞」と、他の舞との比較を含めて解説。「羽衣伝説」に基づく『羽衣』は、松の枝に掛かった羽衣を持ち帰ろうとした漁師が、これがないと天に帰れないと嘆く天人に、羽衣を返す代わりに天上界の舞を所望するという話。天人が舞う天上界の優雅な舞の部分が「序ノ舞」にあたる。

Photo: Takashi Okamoto

亀井さんが、今回の公演のため約5分にまとめた『羽衣』の「序ノ舞」を披露した。両手におうぎを持ち、右手で大鼓おおつづみ、左手で小鼓こつづみの拍子を打ちながら、口元で「ヒウ ルィ ヒョー」と声を出して笛の音を表現する。この見事なひとり三役パフォーマンスは、囃子の稽古時のスタイルだ。

Photo: Takashi Okamoto

これに対して鼓童は、笛と銅鑼どらのほか、締太鼓しめだいこの奏者が十数人、横一列にズラッと並んでいる。歌舞伎舞踊にも『羽衣』はあるけれど、今回、漁師役の壽輔さんたちと天人役の玉三郎の立方とともに鼓童が創り出すのは、能版とも歌舞伎版とも異なる新たなオリジナル版。立方の動きはもちろん、音楽も能の『羽衣』の詞章ししょうや囃子に則りながら、鼓童的アレンジが施されている。

Photo: Takashi Okamoto

一声いっせい※1を拍子は楽譜のまま、(鼓童流に)翻訳してみたので、ちょっと聴いてみてください」

そう玉三郎が言い、『羽衣』の「一声」の演奏が始まった。ドラム・ロールのように細かく刻む太鼓たいこの音をベースに、鋭い笛の音と高低差のある締太鼓+インパクトある奏者たちのかけ声が響く。大鼓と小鼓のパートも、すべて太鼓で表現するという驚きのアイデアだ。

Photo: Takashi Okamoto

「新しいですね。まさに世阿弥ぜあみのいう『めずらしきが花』だ」※2

と亀井さん。続いて、鼓童は「クセ」と呼ばれる主要な部分の地謡じうたい※3を聴かせた。ここ数年、稽古始めに発声練習で謡を取り入れてきた成果か、非常に深く強く、伸びやかな重低音コーラスになっている。

Photo: Takashi Okamoto

「すごいですね。お世辞でなく、謡がうまい。みなさん耳がいいんでしょうね。たいしたものだ」

と亀井さんは感心しきり。能では囃子と地謡は完全に分業制だけれど、鼓童はこうして双方を兼ねるスタイルだ。

この「一声」の囃子と「クセ」の謡のプレゼンテーションで、鼓童と玉三郎が『幽玄』で何をしようとしているのか、さらに、鼓童の能の取り組み方の本気度を理解した亀井さんは、指導を具体的かつ個別化し、グイグイと熱を込め始めた。

Photo: Takashi Okamoto

本業である大鼓だけでなく、小鼓、太鼓、笛、謡、舞と、すべてを自ら実演してみせながら、技術とともに能楽師の気魄きはくを伝授する姿。鼓童の面々も、一瞬を惜しむように真剣に教えを仰ぐ。濃密でいて清々しい空気が、稽古場を満たしていた。

Photo: Takashi Okamoto

※1 一声=登場場面の囃子
※2 めずらしきが花=めずらしい(=新しい)ことは能の魅力の重要な要素のひとつ、といった意味
※3 地謡=謡曲の合唱部分

伊達なつめ
演劇ジャーナリスト。現代演劇、古典芸能、ダンス、ミュージカルなど、あらゆるジャンルのパフォーミングアーツを国内外で取材。著書『歌舞伎にアクセス』(淡交社)など。『InRed』『CREA』など雑誌での連載も。

坂東玉三郎×鼓童特別公演「幽玄」

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http://www.kodo.or.jp/news/20170500yugen_ja.html

【東京】2017年5月16日(火)~20日(土)Bunkamuraオーチャードホール
(問)チケットスペース Tel. 03-3234-9999 http://www.ints.co.jp

【新潟】2017年5月26日(金)~28日(日)新潟県民会館
(問)TeNYチケット専用ダイヤル Tel. 025-281-8000

【愛知】2017年5月31日(水)~6月2日(金)愛知県芸術劇場 大ホール
(問)中日劇場 Tel. 052-263-7171

【福岡】2017年9月2日(土)~18日(月・祝)博多座
【京都】2017年9月21日(木)~23日(土・祝)ロームシアター京都メインホール


心の芯に「芸術的要素」を/坂東玉三郎氏インタビュー


坂東玉三郎氏インタビュー
心の芯に「芸術的要素」を

2016年8月 鼓童創立35周年記念コンサートパンフレットより
文◎伊達なつめ 写真◎岡本隆史

Photo: Takashi Okamoto

──芸術監督就任当初(2012年)は、「和太鼓にはバリエーションが多いわけではないから」と苦労されている様子でしたが、次々と新しい表現が生み出されていますね。

玉三郎 「今日まで出来るだけのことをしてきた」という感じです。正確には「ないもの」を出すというより「ある」ものをそのままではなく展開させて幅を広げる作業になったということでしょうか。『大太鼓』『屋台囃子』『三宅』といった、鼓童のレパートリーを代表する太鼓の曲を沢山聴いていて、今後の為にもさらに新曲があった方がいいのではないかと思い、新しい音楽的なものを模索してきました。私は全てを譜面で伝えていくわけではないので、はじめから「こういうものを創ってほしい」という設計図を示すことはしてきませんでした。鼓童のメンバーが出してきた音を「この音と、この楽器を組み合わせて」やってみては「あ、ぜんぜん合わなかった、こちらの方が良いなあ・・・」などと言いながら、現場で創ってきたのです。

Photo: Takashi Okamoto

その結果、徐々に新しい音が出て来たのでしょうか。それともうひとつは、これまでなかった新しい楽器の組み合わせや使い方、この楽器を加えたら、あるいはこの太鼓の音を前に出さずに、後ろに持って行ったら、どれだけ融合して聞こえるか、といったことを試してきました。

Photo: Takashi Okamoto

──ワン・アース・ツアー『混沌』(2015年初演)で登場した太鼓奏者によるドラム演奏など、実にユニークでした。

玉三郎 同じ打楽器でも、奏法も音の性質もすべてが異なるドラムを使ってみることで、その後元に戻った時に彼らの耳に聞こえる太鼓の音が違ってきたことが、とてもよかったと思っています。たとえば一度旅に出て戻ってくると、自分が住む場所の違った面が見えてくるでしょう。それと同じことを、彼らも感じられるようになってきたのです。

Photo: Takashi Okamoto

──「ちょっとドラムに挑戦にしてみた」という次元とは異なり、「プロの太鼓打ちがドラムを演奏するとこうなる」という新たな楽器の解釈を提示していました。

玉三郎 そこまでいかなければ、お客様に失礼ですから。もちろん今回はプロのドラマーのようには出来なくても、鼓童ができる範囲で、最善のものをお見せしなければなりません。そのために、ここに至るまで3年間かけて稽古してきたのです。

Photo: Takashi Okamoto

──新たに挑戦する楽器の習得に3年をかけ、来年初演の新作の稽古もすでに始まっている。時間の取り方にゆとりと計画性がありますね。

玉三郎 僕自身、俳優として舞台に立つようになってから認めてもらえるまでには、多くの年数がかかりましたし、中国の伝統演劇である昆劇に出演した際も、最低、5、6年は必要でした。フランスの太陽劇団(テアトル・ドゥ・ソレイユ)だって、ひとつの作品を創るのに稽古に2年間もかけているわけです。シルク・ドゥ・ソレイユだって、きっとそうでしょう。本来作品創りというのはそういうものなんです。

──プロの演奏家でありながら、別のジャンルの音楽に挑む姿勢もユニークです。たとえて言えば、チェロの演奏家が胡弓を弾くようなものですよね。

玉三郎 クラシックのチェロの専門家は、人前では胡弓の演奏はしないでしょうけれど、鼓童はとにかく余裕があればやれるところはやってしまわなければならないのです。「やれないでしょう・・・」と言わないで「やれるでしょ?」って最初に言ってしまうんです・・・(笑)。そうするとみんな、だんだん出来るようになっていくんです。そもそも『三宅』(伊豆七島の三宅島)だって『屋台囃子』(埼玉県秩父市)だって、地方の芸能として演奏されているものを、舞台用にアレンジしてきたわけですから。鼓童はそうやって、あらゆる音を自分たちの音色にしてきたのです。ですから今後も、そういうことをして行かなければなりません。

Photo: Takashi Okamoto

──来年初演の新作『幽玄』は、『アマテラス』に次ぐ玉三郎さんと鼓童との共演第2作目、能の世界を鼓童の音色で表現しようという新たな挑戦ですね。

玉三郎 先年打ち手のみんなに、今後はどんなものをやりたいの?・・・と聞いてみたら「日本のものをやりたい」というのです。それじゃあそうしましょう・・・ということになりました。ただ「日本ものはとても難しいよ・・・」とだけは言いました。どこかで古典の専門家の目に触れるでしょうし、様式も技術も、どこまで掴めるかはわからないにしても、「やるんだ」「突き抜けたい」という思い込みだけでは出来ませんからね。お客様にお見せ出来るだけの、練り込む時間がないといけないでしょうね。お能の様式そのものは使えないですから、自分たちが使ってきた楽器で、能や歌舞伎の囃子方では使わない楽器で、稽古をしていかなければなりません。同じ楽器を使ってしまえば、専門家の方が素晴らしいに決まっているわけですから、自分たちの楽器を使って、表現できるように稽古しています。

Photo: Takashi Okamoto

──締太鼓ひとつとっても、能や歌舞伎の大太鼓と似ているようで違うし、違うけど似ているという…

玉三郎 音色が不思議な感じですよね。めずらしさも、新しさも必要ですし、稽古をしていると想像もつかないところにいくんです。それに『幽玄』というからには、謡も入った方がいいかなと思って、ここ5年間くらいやっている発声練習を、謡に活かせるように稽古しています。毎日練習して行けば、確実に声が出て来ますし「なんでもできちゃう」というわけではないですけれど、出来ることはきちんと学んでいきたいと思っています。

──能と歌舞伎と鼓童、と聞いて、アイリッシュダンスと類似点があるタップダンスやフラメンコと競演する『リバーダンス』の一場面を思い出しましたが、そうした広がりも期待できそうですね。

玉三郎 タンゴが酒場のコミュニケーションから生まれてきて、後に芸術的なものに発達したのと同じだと思います。ただ、神社やお寺に集まって演奏するのと、劇場で入場料をいただいてお客様にお越しいただくものとはまた別なことですから、それとは違う線をきちんと引いた状態を保たなければなりません。このようにして、鼓童は各地の芸能に影響を受けてきましたが、デビュー当時から海外公演を多く行う中で、ブルーマン・グループやストンプ(ともにオフ・ブロードウェイを中心に世界各地で公演を続けるパフォーマンス集団)や、シルク・ドゥ・ソレイユのラスベガスのショウの「ミステール」などにも影響を与えているそうです。最近のワン・アース・ツアー『伝説』『神秘』の海外公演では、十分に受け入れられたようですが「影響を受けた海外の打楽器演奏の方が、うまく叩けている」ということにならないように「しっかりとした自覚を持つように」とみんなには話しています。

Photo: Takashi Okamoto

──35周年を迎えた鼓童の今後のことは、どうお考えですか。

玉三郎 具体的には来年(2017年)の春から、「アマテラス」に続く鼓童との共演第2作目の『幽玄』の幕が開きます。9月には、博多座での公演も予定しています。そして秋からは『打男』の日本ツアーが始まります。2009年に創った『打男』が、来年から日本と北米のツアーを回れるようになったことは、演出家としてはとても嬉しいです。佐渡に通うようになってから16年が経ちました。これまで10作近くの作品を創ってきましたが、実は思いのほか大変な作業だったんです。つまり戯曲や筋立て等の全く無いところから、打楽器演奏群の一晩の舞台(コンサート)を構成して行くのですから。自分としては出来るだけ楽しんで創っては来ましたが、お客様がどう思ってくださるかは、また別なことです。特に鼓童の古くからのお客様には、今までとは違う方向性に対する違和感もあったと思います。現在は世界情勢も経済も大変難しい時期を迎えているように思います。そうした状況下で、鼓童のみなさんも「5年後、10年後に自分たちがどうなっていたいのか」・・・ということを真剣に考える時期が来ているのではないでしょうか。

Photo: Takashi Okamoto

鼓童の「和太鼓の曲」は初めから有りましたが、これからは純粋に「打楽器の曲」として考えて行かなければならないこともあるでしょう。また大きな意味で「音楽としての曲創りの捉え方」「舞台人としての有り方」も重要になってくるでしょう。それに加えて心の芯に「芸術的要素」を持って、進んで行ってもらいたいとも考えています。また「舞台裏はお客様には見えている」ということも伝えています。「エンターテインメント」でありながら「品格」も大事なことです。自分も今後の日本の芸術の有り方などを、問い直していきたいと思っているのです。

ー2016年8月 鼓童創立35周年記念コンサートパンフレットより


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坂東玉三郎(ばんどう たまさぶろう)
歌舞伎界の立女形。その深遠な美意識は様々な分野でも発揮され、「ロミオとジュリエット」「海神別荘」などの作品で舞台演出家として高い評価を得る一方、映像作品「外科室」「夢の女」「天守物語」で映画監督としての才能を発揮し、大きな話題となった。2012年4月から4年間、鼓童の芸術監督に就任。2012年9月に、歌舞伎女形として5人目となる重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定、また2013年にはフランス芸術文化勲章最高章「コマンドゥール」を受章した。


 

rasen-web

「螺旋」公演紹介
http://www.kodo.or.jp/news/20160900oet_ja.html

全国ツアースケジュール
http://www.kodo.or.jp/oet/index_ja.html#schedule26a

12月14日(水)福岡公演
http://www.kodo.or.jp/oet/20161214a_ja.html

12月17日、18日 大阪公演
http://www.kodo.or.jp/oet/20161217-18a_ja.html

12月21日〜25日 東京・文京公演
http://www.kodo.or.jp/oet/20161221-25a_ja.html

news20170500yugen01

鼓童サイト「幽玄」ページ
http://www.kodo.or.jp/news/20170500yugen_ja.html


年の瀬に…/船橋裕一郎


年の瀬に…

Photo: Erika Ueda

いかがお過ごしでしょうか? 今年も残すところ、ひと月余りとなりました。皆様におかれましては、どのような一年でしたでしょうか。私自身は、創立35周年という節目の年に代表に就任し、就任の挨拶文を先日書いたのでは…と思うほど、あっという間の一年でした。おかげさまで鼓童は、諸先輩や多くの先達の助けを得て、本年も広範な地域に赴き、多彩な活動を行うことができました。改めて感謝申し上げます。

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「ワン・アース・ツアー〜螺旋」も佐渡での新作稽古期間をはさみ、後半がスタートしました。サントリーホールでの初演から約3ヶ月、内容も洗練され、一部のキャスト交代を行いながら、更に充実した舞台になるよう、頑張っております。是非、会場に足を運んで頂き、太鼓の音色を肌で感じ、来る年への活力として頂けたら幸いです。

Photo: Takashi Okamoto

さて、時節柄、部屋やパソコンなど色々と整理整頓をしていた折、今年のはじめに読んだエッセイを抜き書きしたメモを見つけました。

『成長するものは変化する。そして以前より複雑になる。考え方もふるまい方も、より複雑で、重層的で、こまやかで厚みのあるものになる。』

という哲学研究者で武道家でもある内田樹氏の言葉でした。それは日本への憂いからきた言葉でした。日本は逆行していると… 急激な成長や変化には畏れや歪みを伴います。それは国内外の政治や経済状況にも顕著に反映されています。

Photo: Takashi Okamoto

ただ、本年「混沌」や「螺旋」というツアーに参加した私にとって、この言葉は、鼓童が成長し続けようとしているグループだという実感を得る言葉となりました。成長過程ゆえの未熟さはまだまだありますが、坂東玉三郎さんから鼓童に対する未来への使命を与えて頂いた作品だと感じるとともに、お客様にはより一層楽しんで頂ける舞台、音を届けていけるよう最善を尽くしていこうと思いました。

Photo: Takashi Okamoto

11月鼓童村・幽玄稽古風景

来年は「打男」北米ツアー初音ミクとの共演「道」の再演から始まり、春になりますと玉三郎さんとの共演二作目となる「幽玄」など上半期だけでも多彩な活動を予定しております。

来年もまた良い年になりますよう、そして鼓童の音が皆様にとって心の潤い、活力源となれるよう、グループ一同、精進してまいります。

太鼓芸能集団 鼓童 代表 船橋裕一郎

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【新作】坂東玉三郎×鼓童特別公演「幽玄」上演決定!!
http://www.kodo.or.jp/blog/news/20161201_11506.html

「アマテラス」に続く待望の共演第二弾!

2017年5月16日(火)より…

鼓童 Kodoさんの投稿 2016年11月30日

【鼓童村より】交流公演メンバー、いってらっしゃい!

先ほど交流公演メンバー、元気に旅立っていきました。12月新潟、愛知、千葉、東京で学校公演や特別出演、WSなどを行います。
ーーーーー
2016年12月11日(日)鼓童特別編成で出演「大叢…

鼓童 Kodoさんの投稿 2016年12月6日

【米・Forbesに掲載】鼓童の記事が「Forbes」に掲載されました!

【Forbes】Kodo, Japanese Taiko Drumming Company, To Tour Across United States In…

鼓童 Kodoさんの投稿 2016年12月6日

【WEB掲載】「カジスマ」に鼓童「螺旋」の紹介記事が掲載されました。坂本からの一言メッセージもあります。ぜひご覧ください!

カジスマ|たまった1年のモヤモヤもスッキリ!…

鼓童 Kodoさんの投稿 2016年12月6日


【新作】坂東玉三郎×鼓童特別公演「幽玄」上演決定!!


坂東玉三郎×鼓童特別公演「幽玄」

Photos: Takashi Okamoto撮影:岡本隆史

「アマテラス」に続く待望の共演第二弾!

2017年5月16日(火)よりBunkamuraオーチャードホールでの公演を皮切りに、国内5都市にて新作公演「幽玄」を上演することが決定致しました。本作では、2006年初演の「アマテラス」以来となる、歌舞伎俳優 坂東玉三郎氏との共演を果たします!

佐渡を拠点に世界で活躍する鼓童と玉三郎氏との出会いは2000年。2003年には「鼓童ワン・アース・ツアー スペシャル」で玉三郎氏の演出を受け、2006 年に「アマテラス」で初共演が実現。当代随一の立女形と、日本を代表する和太鼓グループの共演は、たちまち一大センセーションを巻き起こし、翌年には歌舞伎座で再演。2013年の再々演では東京・福岡・京都で計67公演全てが完売するという伝説の舞台となりました。

15年以上にわたり、その自由自在な発想と類い稀なる審美眼で鼓童の創作活動に大きな変革をもたらしてきた玉三郎氏。今回のテーマは「幽玄」と題し、世阿弥が見た世界を「羽衣」、「道成寺」、「石橋」など能の代表演目を題材にして表現することに挑戦します。

Photo: Takashi Okamoto 撮影:岡本隆史

不世出と評される玉三郎氏の優雅な舞いを、太鼓界を牽引し続けてきた鼓童が斬新な切り口で囃します。そこに花柳壽輔氏はじめ、花柳流舞踊家の出演も決まり、見どころに華を添えます。能の代表的な演目を題材に、玉三郎氏の舞踊が、魂を揺さぶる鼓童の太鼓の響きと、能楽にインスパイアされた妙なる音色と一体になって、奥深くも情感豊かなイマジネーションの新たな地平へといざないます。

演出:坂東玉三郎
出演:坂東玉三郎、鼓童、花柳壽輔、花柳流舞踊家

<公演スケジュール>

鼓童サイト「幽玄」ページ
http://www.kodo.or.jp/news/20170500yugen_ja.html


五月田の輝き/船橋裕一郎


五月田の輝き

この度の熊本地震につきまして、早期の終息と状況の改善を心から願っております。私も度々訪れた地や友人知人の被害状況を聞き、今後少しでもお力添えが出来るような動きをしていきたく、皆様の活力をより増幅できるような、舞台や音を届けていけるよう頑張ってまいります。

Photo: Erika Ueda

佐渡は、田植えの季節となりました。冬の寒さにより固められ、太陽からの養分を得た土に一気に水を張り巡らされ、キラキラと美しい景色が広がります。とはいえ、先月もお伝えしたように、今月は、来月のものから来年のものまで、いくつもの作品を作り上げている過程です。正直に申しますと美しい景色をゆっくりと眺めている余裕はあまりないのですが、通勤や買い物の際に普通にこの景色をみることのできる幸せを感じます。

Photo: Erika Ueda

能楽師・津村禮次郎先生によるお稽古

さて、来年の春に上演予定の「幽玄」という作品は、能を中心に日本の古典から着想を得て、作品作りを始めております。能のシテ方の歩みのようにゆっくり、ゆっくりと作品作りも進行しており、稽古終了時、皆が一斉におおきなため息をつくほど、張りつめておりますが、これまでにない作品になる実感と充実感、また古典から得られる新たな発見と学びを日々感じております。

Photo: Erika Ueda

また、「若い夏」では鼓童の結成当初からの演目を若いメンバーが基礎の基礎から学ぶべく朝早くから夜遅くまで必死の稽古をしております。

Photo: Takashi Okamoto

「35周年記念コンサート」にむけては、ゲストをお迎えしての稽古となりました。

鼓童文化財団Facebookより鼓童文化財団Facebookより

5年目を迎えた「佐渡宿根木公演」では、改装された宿根木公会堂で、見留知弘の構成演出で行われ、沢山のご来場を頂きました。

Photo: Erika Ueda

鼓童の活動は多種多彩ですが、足下を固め、多くのものを吸収しながらグループが進んでいく姿は、美しい田に重なるように思います。日々の取り組みに真摯に向き合いたいと思っております。

太鼓芸能集団 鼓童 代表 船橋裕一郎

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「太鼓芸能集団 鼓童 創立35周年記念コンサート、記念ツアー」開催決定!


「鼓童」は2016年、創立35周年を迎えます。

鼓童の活動におきまして、お客様そして関係者の皆様にはご声援とご協力をいただき、誠に有難うございます。2016年、鼓童創立35周年を迎えます。

http://www.kodo.or.jp/news/20150917kodo35th_ja.html

「鼓童」の創立35周年を記念し、この度、記念コンサートおよび記念ツアーの開催が決定致しました。2016年8月には東京・サントリーホールの30周年記念公演に参加し、3日間の特別コンサートを行います。

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また、2015年11月から2017年6月にかけて、芸術監督・坂東玉三郎演出作のうち新作含む5作品(「混沌」「神秘」「打男」「螺旋」「幽玄」)を国内・海外でツアー上演致します。「記念コンサート、記念ツアー」詳細は鼓童サイトをご覧ください。

http://www.kodo.or.jp/news/20150917kodo35th_ja.html

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▼▼「記念コンサート、記念ツアー」詳細
http://www.kodo.or.jp/news/20150917kodo35th_ja.html

鼓童創立35周年記念コンサートは以下の企業のご協賛をいただいています。

 


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